6月から店頭に並んでいる「アメリカンチェリーのタルト」です。
チェリーをレモン、バニラ、キルシュ(サクランボリキュール)で煮た
自家製シロップ煮(コンポート)のタルトです。
ある日、ケーキを選んでいるおばちゃまに聞かれました。
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「このチェリー、缶詰でしょ?いいお値段ねぇ」
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大変ショックでしたが、
「そうか、そう思う人もいるんだな」と思いました。
確かに缶詰のフルーツもシロップ煮です。
たとえ自家製でも、見た目はまんまシロップ煮だし、
味も分からないので“缶詰”と思われても仕方ないのかもしれません。
缶詰のっけて399円は、確かに高いと思われるでしょう。
でも自家製のシロップ煮は作るのにフルーツの下ごしらえをして、
香り付けしたシロップで一晩かけて作ります。
少なくとも、缶を開けただけのフルーツより手間と時間をかけていますし、
味も雲泥の差と自信を持っています。
が、それをちゃんと分かって頂けないのは、説明不足、発信不足と反省しました。
チェリータルトにも申し訳なかったです。
そこで、
今日は知っている人にも、まだ知らない人にも、
夢天菓流ではありますが“シロップ煮”のすごさをご紹介したいと思います。
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シロップ煮は僕らの世界ではコンポート(仏compote)と呼んでいます。
このコンポートという調理法に使うのは「浸透圧」です。
よく「キャベツに塩をすると水が出てくる」ことと同じ様に、
“塩分(糖分)濃度の高い方に水分が移動する現象”です。
似た調理法にマリネ(仏mariné)というのがありますが、
これは食材を少量の調味液や糖液に漬けて、味を染み込ませる調理法です。
まずはフルーツの下ごしらえからです。
チェリーは洗って一筋包丁を入れます。
オレンジなら房ごとにはずし、
モモなら湯むきして同じ大きさのくし型に切ります。
いずれも大事なのは“切れる包丁を使う“ことです。
フルーツの組織が壊れると、必要以上に水分が抜けて見た目も食感も悪くなります。
下ごしらえは煮る前ですが、一番神経を使うところでもあります。
そしてシロップで煮るのですが、
組織の柔らかいモモなどは煮ないで熱いシロップに漬け込むだけのこともあります。
(モモのような場合はマリネと言った方が正確かもしれません)
シロップの量は大体フルーツと同じ量です。
フルーツ1kgなら、シロップも1kgほどです。
材料は基本的に水と砂糖ですが、
香りづけとしてバニラ、ミント、シナモン、丁子、オレンジの皮、コショウなど
用途とフルーツによって色々な香りのシロップを作り分けます。
そして最終的に「甘いだけ」のコンポートにならないよう、
レモンジュースを神経質に使い、甘さと酸味のバランスを整えます。
生フルーツの糖度は一般的に10%~15%です。
それに対して糖度30%くらいのシロップで煮て、
ラップをかけてそのまま常温で放置します。
煮る時間はフルーツによって様々ですが、作業的にはこれだけです。
でもここからがコンポートの真骨頂です。
フルーツより糖度の高いシロップと合わさるため、
時間が経つにつれてフルーツの水分がシロップに移り始めます。
(ここが浸透圧の作用①です)
そして水分がでることで、予めレモンやバニラで香りをつけてあるシロップと合わさり、
とても美味しいフルーツシロップになります。
(ちなみに缶詰のシロップは水と砂糖のみで、時に香料が入っている程度です)
さらに時間が経ち、温度が下がると、
今度は美味しくなったシロップがフルーツの中に戻って行きます。
水分を出したフルーツの組織が、また水分を自分に戻そうとするわけです。
フルーツに熱を加えるのは組織を柔らかくし、シロップが移動しやすくする為なんです。
(浸透圧の作用②)
香りづけのリキュールは“香り”が残るよう、このタイミングで入れます。
シロップに熱がありすぎると、リキュールの香りが失せてしまうのも理由の一つです。
そして美味しいコンポートを作る上で大事な要素が“時間”です。
コンポートはフルーツの水分をゆっくり引き出し、ゆっくり戻すことで美味しくなります。
ですから、放置してから最低一晩はそのままにしておかなければなりません。
決して早く煮えるよう熱を入れ過ぎたり、直ぐに氷水で冷やしたりしてはだめなんです。
出来上がりの目安は鍋の中のフルーツの位置。
煮てすぐの状態では、フルーツはシロップの表面にプカプカ浮いています。
フルーツには空気が結構入っている為と、まだ比重に差がある為です。
そして水分と共に空気が抜け、シロップがフルーツに戻り切ると、
今度は鍋の底に沈みます。
これはシロップの糖度とフルーツの糖度が同じになった事を意味します。
これで自家製フルーツのシロップ煮(コンポート)の出来上がりです。
生食の時よりも甘さを増し
新しい香りをまとったフルーツに変貌しました。
あとは冷蔵庫でよく冷やすだけ。
夢天菓では漬けたシロップをゼリーにして、仕上げに塗ってツヤを出しています。
シロップもコンポートと同じくらい美味しいですからね。
以前会社勤務でデザート担当だった時は、
このシロップでシャーベットを作り、
コンポートに添えてデザートとして提供したりしておりました。
やまももで作った時はシロップが美味しすぎて、
バーテンさんがそれでカクテルを作りたいと、言って下さったほどです。
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いかがでしたでしょうか?
ざっとでしたが、自家製シロップ煮のフルーツが、
市販の缶詰とは違う事を少しでも分かって頂ければ嬉しいです。
でも作業的には意外と簡単なので、
手間と時間を惜しまない人は是非ご家庭でもやってみて下さい。
お気づきと思いますが、
文の中にレシピも含まれていますので。
こんな素晴らしい調理法で作ったフルーツなので、
これからはもっと表示などでアピールしてみようと思います。
コンポートらしきものを見かけましたら是非ご賞味下さい。
どうぞよろしくお願いいたします。
ちなみに新商品の「水ようかん」にのっているチェリーとミカンは
昔ながらのイメージを出すために使用した
“正真正銘の缶詰”ですので、念のため。
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特別注文ご紹介コーナー!
最近知ったのですが、このコーナーを楽しみにしていて下さる方が多いようです。
みなさま、ありがとうございます(^O^)
今週もガンバッテ特注ケーキをご紹介させていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
それではご覧ください。
≪ 似顔絵イラスト ≫
お付き合いをして2年目の記念日にとオーダー頂きました。
なんと今回の似顔絵(原画)は僕ではなくスタッフが描きました。
とっても上手でしょ?!!
タッチが女性的に繊細なので、僕も勉強になりました。
また描かせようと思います。
その陰で、ひそかに僕も腕を磨きます(¯▽¯☆)キラーン
≪ お友達の誕生日 ≫
お客様のデザイン画を基に、出来るだけ忠実に再現しました。
ケーキのベースはイチゴショートです。
それにマジパン(アーモンドペースト)でパーツを作ってあります。
水玉模様は赤と白のマジパンをのばし、
丸い抜き型で赤を抜きつつ、同じ大きさで抜いた白いマジパンをはめて作りました。
それを帯状に作って、ケーキの周りに巻きつけたんです。
表面の赤いマジパンとのつなぎ目を赤いバタークリームで絞ったら、
革細工みたいになりました。
リボンもマジパンです。
文字はバタークリームです。
≪ 筆文字イラスト ≫
年に何回かは必ずオーダーを頂く“筆文字イラスト”
シンプルさで人気のイラストです。
漢字ならどんな文字でもカッコよく仕上がりますが、
ひらがなでもきっとカッコいいと思います。
これは前日予約でも承りますので、
忘れていた時は是非お電話下さい。257-9005です(^0^)
≪ キュア・ロゼッタ ≫
プリキュアシリーズはいつも描き慣れたころに新シリーズに変わってしまいますが、
今回は意外とはやく慣れてきたようです。
髪の毛の繊細さには相変わらず手を焼きますが、
仕上がりが一番きれいなモデルはプリキュアかもしれません。
“プリキュアが好き”という訳ではないんですが、
“プリキュアのイラストは大好き”です(^^;)
≪ スーパーサイヤ人GOD ≫
僕が高校1年の時にDr.スランプが少年ジャンプで始まりました。
そのときから鳥山明先生の絵が大好きで、よく絵の勉強に使わせて頂いてました。
“少ない線で質感を表現するマンガ”として崇拝しています。
今こうしてオーダーを頂き、鳥山明先生の絵を描くのはとても嬉しいです。
≪ チキンラーメンのひよこちゃん ≫
素直に可愛いですね。心なごみます。
でもこのような塗りつぶしが多いイラストは、描き手にとって用注意なんです。
小さな絞り袋で色を入れていくのですが、
指の熱でだんだん色が濃くなってくるんですねw(゜0゜)w
だから半分ほど絞ったら、色が変わる前に次の絞り袋に替えなければなりませんが、
一生懸命塗りつぶしていると、ついつい行き過ぎることも・・・。
さらに隙間のないように広範囲を絞るのは、結構神経使います。
出来上がりはシンプルでも、実はこんな苦労があるんです(^^;)
今週は以上です。
オーダー下さったみなさま、本当にありがとうございました。
またのご注文、お待ちしております。
【お知らせ】
フルカラーイラストは一日一件のみのご予約とさせて頂いております。
本日6月25日現在、フルカラーイラストのご予約は7月3日(水)以降で承っております。
線描きイラスト、筆文字イラストは7月2日以前でも承りますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
ケーキやイラストの詳しい内容が決まってなくても、
イラストだけバっておくこともOKです!
予約日だけ決まったらすぐ、257-9005までお電話ください!
※イラストケーキの地方配送は承りかねます。
大変申し訳ありません。
それでは本日も長文お読み頂き、ありがとうございました。