3年ほど前から、イラストケーキの予約が大幅に増えました。
皆さんに喜んでもらえるので、職人冥利に尽きます。
本当にありがとうございます。
中でも“フルカラーイラスト”の人気はダントツで、
“影付き”は「リアルできれい」と大好評です。
他にも“線描きイラスト”“セピアイラスト”がありますが
これらのオーダーは珍しいほどです。
しかし人気とは言え、フルカラーは1日1件しか受けられないので、
多くても週に6件しか作ってあげられないのが現状です。
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Q 「なぜ1日1件しか受けられないの?」
Ans「はい、それは1枚描くのに2時間半以上かかるからなんです。」
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やむなくこのようにお断りすると
「ふつう、イラストなんて大して時間かからないですよね?」
「こんなの誰でもチャチャッと出来るんじゃないの?」
なんてこと言うお客様が「結構」いらっしゃるので、
今日は「夢天菓のイラストケーキ」がどんな工程で出来るかお教えします。
それで何とか“一日一件のみ”の理由をご理解頂けたらなとおもいます。
では、ご説明致します。
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まず下絵を描き、厚手のフィルムに油性マジックで下絵を写します
影をつける場合は色の違うペンで影部分をマーキングします(約30分)
マジックで描いた面を裏にして、霧を吹いた丸鉄板に貼り付けます
マジックに沿ってチョコペン(自家製)でイラストの枠を描いて行きます
描けたら冷蔵庫で冷やします。
ここまでで約45分
次に白いバタークリームに色を付けて
紙を巻いて作った“コルネ”という小さいしぼり袋でチョコ枠の中に色を入れていきます。
色を入れる前に、原画を10分ほど眺めて色を入れる効率の良い順番を決めます。
例えば黄色・オレンジ・みどりが配色であったら、
まず黄色から始めればそれに赤を加えてオレンジ、青を加えてみどりといった
スムーズな工程が踏めるからです。
ちなみに使う色素は赤、青、黄色、茶(チョコ)のみです。
白を含めこの5色を枠の色ごとに調合してあらゆる色を作っています。
色作りの一例ですが、
赤+青=紫(比率によって赤紫、青紫、ショッキングピンク)
青+黄色=みどり(比率によって黄緑)
赤+黄色=オレンジ(比率によって朱色、山吹色)
青+みどり=コバルトブルー、ビリジアン
みどり+黄色+茶色+白=オリーブグリーン
青+茶色+赤少し+白=グレー
オレンジ+茶色+白=ペールオレンジ(肌色)
オレンジ+赤+白=サーモンピンク などなど無限大です。
さらにオレンジ色の服の「影ありイラスト」などでは、基本の中間色のほかに、
光の当たっている“オレンジ+白“の部分(ハイライト)と、
”オレンジ+茶色“の影の部分(シャドウ)を描き分けます。
それが枠ごとに色が違うと、それぞれの色を2種類~3種類作ることになります。
これを繰り返していくと、1枚のイラストで平均20色は作っているでしょう。
この色付けに最低1時間30分かかります。
過去最長は21cmサイズの4時間でした。
さて、やっと色が付け終わりました。
今度は描いたイラストを冷凍庫に入れ、
しっかり固めたらホイップクリームを上から薄く塗って
もう一枚のフィルムで表面を覆い、再度冷凍庫で凍らせます。
ここまでが“最低でもオーダーの前日まで”の仕事です。
かなり神経を集中して作るため、1枚終わるとヘトヘトなんです。
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そしてオーダー当日、
凍ったイラストを鉄板から外して表面のフィルムをはずし、
ケーキの大きさに合わせて周りをカットして再度冷凍しておきます。
ケーキ本体を作ったら凍ったままのイラストをケーキの表面に張り付け、
縁をクリームでしぼって、イチゴとメッセージプレートを乗せて出来上がりです。
冷蔵庫で自然に解凍し、ケーキと一体化するという訳です。
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いかがでしょうか?
たかがイラスト、されどイラスト。
1枚描くことに費やしている手間を、少しご理解頂けましたでしょうか?
「こんなネタばらししちゃって、他の店に真似されちゃうんじゃない?」
大丈夫です。たぶんイラストにこんな手間をかける店はないと思いますし、
枠を描くのも、色を作ったり入れたりするのも容易なことではありません。
要は「文で読んだだけでは真似できない技」ということです。
ぼくは喜んで頂けるためなら手間は惜しみません。
睡眠をけずり、一枚入魂で取り組んでいます。
だから神経を集中させて作成するのは、毎日3時間が限界です。
体調を保って毎日確実に作り、確実に喜んで頂く為の“一日一件のみ“なのです。
どうか皆様にはこのことをご理解頂き、
少しでも早くオーダーを入れて下さるようお願いする次第です。
以前(3年前)は3日前なら予約を受けれましたが、
今は常に2週間先までいっぱいです。
誕生日がまだ先で、詳しい内容が決まらなくても、
「この日イラストばっといて!」と仮予約をするのはOKです。
今日は“フルカラーイラスト”の話ばかりでしたが、
“線描きイラスト”は1日1件に限りませんので、
どうしてもという方は是非こちらもご検討頂ければとおもいます。
次のコーナーで、また過去のブログで、
“フルカラーイラスト”、改めてご覧ください。
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それでは、先週入った特注オーダーのご紹介です。
≪ キュア・ダイヤモンド ≫
ドキドキ・プリキュアシリーズ第4弾、これで全員描くことができました(*^_^*)
食用色素の青は独特の色合いで、絵具のようにきれいな色を出すのが困難なのです。
だから寒色系のイラストは色作りに一番苦労するんですよ。
しかもある程度色を濃くしないと「白く飛んだ」感じの仕上がりになってしまうので、
食べた時舌が青くなっちゃうんです。
でも舌はすぐに元に戻りますので、びっくりしないでくださいね。
≪ 2種類のチーズケーキ ≫
一見ふつうのレアーチーズけーきですが、
実は下半分がベイクドチーズ、上半分がレアーチーズなんです。
ご主人がチーズケーキが大好きということで、奥様が是非このようなチーズケーキをということで作りました。
一台しか作りませんでしたので完成品は食べていませんが、
それぞれの味は抜群でした。
こんなチーズケーキも「有り」ですね。
≪ もものミルフィーユ ≫
この時期、フレッシュのももが入らないので、缶詰で作りましたが、
適度なジューシーさとサクサクのパイは非常に良い相性です。
カスタードクリームには少量のコアントロー(オレンジのお酒)を入れて風味を出しました。
以前作ったモンブランパイといい、ミルフィーユの可能性はまだまだ広がりそうです。
≪ しまじろう ≫
苺を上に飾るイラストケーキの例です。
イラスト部分がちょっと小さくなりますが、見た目の華やかさはあると思います。
≪ ラスカル ≫
元々の画像にペロペロキャンディはありませんでした。
「是非ラスカルに持たせてほしい」というお子様のご希望で描き加えました。
”ラスカルにはペロペロキャンディ” らしいです。。。
可愛いですよね(*^_^*)
≪ ウッディー ≫
不公平なく、どのケーキも同じ愛情で作っているのですが、
”1歳のお誕生日ケーキ”はどうしても緊張せざるを得ません。
その子にとって人生最初のバースデーケーキになる訳ですから、
ご両親にとっても一生忘れられない誕生日になるはずです。
そのケーキを任されたことは、この上なく名誉なことと思っています。
本当にありがとうございました。
本日は以上です。
長文読んで頂き、ありがとうございました。