夢天菓が開店して2年目から販売している杏仁豆腐があります。
この杏仁豆腐は小田原の中国料理店「静蓮(セイレン)」を営んでいる親友、
平野鉄也のレシピを洋風にアレンジしたものです。
彼は四川料理が専門なのですが、日本料理的に素材の味を生かしたり、
地元の食材を愛したり、他ジャンルの料理を取り入れたりと、
良い意味で異常なほど料理に執着心のある男です。
シンプルな定番料理ももちろんなのですが、
彼の料理は美味いだけでなく、いつも驚きや感動があります。
そんな彼の作った杏仁豆腐を食べたのが、発売のきっかけでした。
それまで正直、杏仁豆腐というのは知識の一部でしかありませんでしたし、
さほど美味しい杏仁豆腐に出会っていなかったのもあり、
自分の中ではちょっと低いランクに位置していました。
ところが彼はそれを見事に覆してくれたわけです。
一番感動したのは舌ではかなく崩れていくような食感でした。
洋菓子にはない、独特の心地よい食感。
「目から鱗が落ちる」とは、まさにこのことを言うんだと思いました。
そしてどうしても、この杏仁豆腐を洋菓子として作りたくなりました。
平野に「この杏仁豆腐のレシピ、教えてくれないか?」と頼んだ時、
「うん、いいよ」と迷いもせずレシピをくれました。
レシピを組む時ということは、何度も試作をしたり、材料を変えたりと、
それは大変な努力を重ねて1つのものが出来上がることを僕も知っています。
だから普通は安易に「レシピをくれ」なんて、言えないんですよね。
でも彼はそれを僕にくれました。
本当に感謝しています。
だから彼の努力を無にしないよう、美味しい洋菓子にアレンジしよう
そして絶対売れるような商品にしよう!
という気持ちが、夢天菓の杏仁豆腐には詰っています。
お陰さまで杏仁豆腐は夢天菓の看板商品になりました。
商品の中ではリピーターさんが一番多く、
夏冬問わず、たくさんのお客様に愛されるようになりました。
その平野が昨年末に店を閉めました。
詳しいことは書けないのですが、体調不良のためということでした。
しばらくは療養に専念して、また新たに「静連」をはじめるということです。
また平野が「静蓮」を再開した際には、
ブログで紹介させて頂きますので、是非足を運んで頂ければと思います。