アーモンド・タルト
卵、砂糖、バター、アーモンドパウダー。
この4種類を合わせて作ったものをアーモンドクリームといいます。
「クレーム・ダマンド」とフランス語で呼ぶケーキ屋さんも多いです。
フランス菓子には頻繁に使われるクリームで、
生ではなく火を通して食べるクリームです。
このお菓子はタルト生地にアーモンドクリームを詰めて焼き上げ、
アンズジャムを塗っただけのシンプルなものです。
世の洋菓子店は独自の味を出したり、
時代に合わせたりするために様々な手法を用いてアーモンドクリームを作っています。
アーモンドだけではなくヘーゼルナッツのパウダーをいれたり、
生クリームやスキムミルクを入れたり、
蜂蜜をいれたり、アーモンドの割合を増やしたりと、
挙げたらきりがないほどです。
僕もこの22年間の間に数多くのアーモンドクリームを作ってきました。
でも夢天菓を開店して今行き着いたのは、
基本のレシピでした。
素直に美味しいんです。
なんというか、
遠回りをしてやっと基本の偉大さに気付いたと言った感じです。
フランス菓子は年々進化を遂げ、新しいものや斬新なものが現在主流となってきています。
しかしその反面、新しい何かを追い求めるうちに、
「基本」の形を忘れかけているものが多いように思います。
温故知新といいますが、
やはり古きがあってこその新しいものなんですね。
僕にとってこのアーモンドタルトは、基本の大切さを思い出させてくれる
ありがたい友人のような存在です。